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オレガンバル!!笑。


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目を、閉じる。

他人のために、自分のために憧れた警察官になった。街のため、市民の安全のために出来る事をやりたい。そう思っていた。しかし、その思いは現実と言うどうしようもない重さに耐え切れず、今にも崩れそうになっている。すぐに結果を出せる訳ではない。十分に理解している事だ。それでも、やりきれない気持ちだけが日々を侵食していくのは止められない。でも―
『お前…こんな事、始末書だけで済む訳ないだろう。ちょっと考えたらわかる事だ』
起こす失態。増える始末書。しかしそれは、山本を絶望と解放へを導く死神の鎌へと一向に変化する事は無く。そうなれば、いくら鈍いと定評のある山本だって気付いてもおかしくない。―誰かが、自分を庇っている。それは、事件現場での失態が全て報告のみで済まされている事からもわかる事実だ。心当たりは一つ。自分のせいで怪我までしたのに、何も言ってこない訳が無いのだ。

―目を、開いた。

「そんながっかりした顔しないで下さい、山本武」
夜のニューヨーク。ネオン煌めく大通りから外れた路地裏で、彼はそう言った。
「…ご苦労様です」
いつもの表情へと無意識に戻して山本が言った相手―六道骸は薄いゴム製の手袋を履きながら、小さく溜息をついた。視線は路地裏に転がる遺体に向けられたまま、言葉だけが投げ掛けられる。
「こっちも色々と忙しくてね…人がいなくなったので、これまた大変なのですよ」
「…はぁ」
そんな言葉を聞いても山本にはどうにもならない事で、気の抜けた返事を返すしかない。正直、少しは期待していたが捜査官は沢山いる。それは山本達―警察官が沢山いるのと変わらない。同じ現場の捜査で出会うなど、低い確率に賭けた山本の負けだ。普段はそう思うだろう。しかし―
「貴方のお気に入りの獄寺隼人は、今ニューヨークにいませんよ。残念ながら」
「…そんな、別に…えっ?」
聞き捨てならない言葉と思ってもいなかった言葉にどう返して良いものか、山本は困惑する。
「まぁ仕事ですから仕方のない事ですけどね…」
骸はそう言うとキットの中から試薬を何個か取り出して、山本の元から離れていった。骸は立ち話をしに来た訳ではない。それはもちろん山本も同じだ。しかし山本は骸から齎された中途半端な情報の詳細を知りたかった。彼―獄寺がニューヨークにいないとはどういう事なのだろうか。所属も違う山本に獄寺の情報がどこまで明かされるのか、その範囲は恐らく狭い。獄寺が何処にいようと、山本の日常は変わる事がないからだ。だが、山本にとって、獄寺がニューヨークにいないと言う事は割と大きな意味を持った。しかもこのタイミングで、だ。

―彼に、獄寺に話しておきたい事があると言うのに。
「(いつ戻るのかな、って言うか…戻ってくるのかな)」

山本の気持ちは夜のニューヨークに溶けて、そしてその心配通りに獄寺隼人はニューヨークから姿を消した。それから二度目の春が訪れても、山本は彼の姿を見る事はなかった。
ベルトにつけた真新しいバッジが、酷く重たく感じる日々だった。
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何かもうすみません。。。
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